日本のファッション用語には海外でまったく通じないものが沢山ある。たわむれに抽出したところ、それは400語ほどにも達した。その中から和製英語に属するものを中心に200語あまりを抜粋。今回ここに紹介するのはそこから厳選した用語の類で、その多くはすでに一般化しているから、国内で使用する限りはまったく問題ないのだが、いざ海外でという時に困ることが多い。日本だけのおかしなファッション用語というのも、これはこれで面白いのだが・・・・・。
スタジアム・ジャンパー
スタジアム・ジャンパー
スタジアム・ジャンパー(スタジャン)
stadium jumper
正しくは
【アワード・ジャケット】
award jacket
【ベースボール・ジャケット】
baseball jacket
日本では通称スタジャンとして知られるカジュアルなジャンパー。本来、野球やフットボールなどの選手たちが、スタジアムでベンチウォーム用に着たところから、日本ではこのように名付けられた。アメリカではハイスクールやカレッジで、毎年スポーツで活躍した選手に贈られる「栄誉あるジャケット」という意味からアワード・ジャケットと呼ばれ、一般には大リーグのユニフォームというところからベースボール・ジャケットという。
スタジアム・ジャンパーほど通称、俗称の多いものはないだろう。日本ではグランド・ジャンパー、ツートーン・ジャンパーとも呼ばれ、最近ではスタジャンとかグラジャンなどとも俗称されるようになった。もちろん、これらは和製語で、スタジアム・ジャンパーというのは、どうやらあのVANヂャケットの命名によるものらしい。大体ジャンパーという言葉そのものがアヤしい服飾用語で、外国では絶対に通用しないのだ。そもそもこの種のジャケットが登場したのは、20世紀はじめのアメリカでのこと。野球やアメリカン・フットボールの選手たちが、試合の前後や控えにいる時に着用したのだ。現在の形に整うのは1930年代に入ってからのこと。それがやがてアイビー・リーグの学生たちに採り入れられ、校章や卒業年度を入れたアワード・ジャケット(栄誉を称える上着)として定着してゆく。レタード・ジャケット(レターは文字の意)の別名があるのはそのためで、ほかにアメリカではベースボール・ジャケット、フットボール・ジャケット、ウォームアップ・ジャケットの名でも呼ばれている。ま、スタジアム・ジャケット、あるいはグラウンド・コートなら通じるだろうが、スタジャンだけは絶対にいけない。