「取るに足らぬこと、些細なこと」を英語でトリビア trivia といい、当時のテレビ番組『トリビアの泉』以来、大変な雑学、蘊蓄ブームを巻き起こすようになっているが、ファッションの世界にはこれに類するトリビアがことのほか多く見受けられる。たとえば「腹巻き」は16世紀のヨーロッパで生まれ、日本では明治時代にキモノから洋服に変化したときに帯の代わりに用いられたという。またトートバッグはもともとキャンプ地で水を運ぶために使われていた、というのもこれを知らない人にとっては「目からウロコ」の話となるだろう。ファッションに関するトリビアは語源や発生にまつわる話が多いけれど、それを知っているとつい誰かに自慢したくなるものだ。それこそトリビアのトリビアたるゆえんなのだが、あの女性ファッション誌『JJ』のタイトルが「女性自身」のアルファベット綴りの略からきているって知っていました?
Tシャツの最初は、フランス軍兵士から
Tシャツといえば丸首、半袖のメリヤス下着が元になって、今日に見るようなファッション外衣にまで発展したものだが、意外やそのルーツはアメリカではなく、フランスにあった。時は第1次世界大戦(1914~18)中、場所はヨーロッパ戦線。フランスに大挙上陸したアメリカ兵たちは同じ連合軍であるフランス軍の兵士たちが着用していた下着のシャツに目が惹き付けられた。それは白のコットン地で作られた半袖、丸首型のデザインで、とても涼しげに見えたのだ。というのもアメリカの兵士たちのそのころの下着は「バルブリガンズ」などと呼ばれる、いわゆるラクダのメリヤス肌着のようなものであったのだから。戦後、アメリカ兵がこれを持ち帰ったところからアメリカにおける新型肌着の歴史が始まる。こうして完成したTシャツがアメリカ軍の官給品として大量に支給されるようになったのは第2次世界大戦に突入した1940年のこと。そしてGIたちが世界中に広めていった。