「取るに足らぬこと、些細なこと」を英語でトリビア trivia といい、当時のテレビ番組『トリビアの泉』以来、大変な雑学、蘊蓄ブームを巻き起こすようになっているが、ファッションの世界にはこれに類するトリビアがことのほか多く見受けられる。たとえば「腹巻き」は16世紀のヨーロッパで生まれ、日本では明治時代にキモノから洋服に変化したときに帯の代わりに用いられたという。またトートバッグはもともとキャンプ地で水を運ぶために使われていた、というのもこれを知らない人にとっては「目からウロコ」の話となるだろう。ファッションに関するトリビアは語源や発生にまつわる話が多いけれど、それを知っているとつい誰かに自慢したくなるものだ。それこそトリビアのトリビアたるゆえんなのだが、あの女性ファッション誌『JJ』のタイトルが「女性自身」のアルファベット綴りの略からきているって知っていました?

ハンカチが正方形になったのはマリー・アントワネットのわがままから

ファッション・トリビア蘊蓄学:ハンカチが正方形になったのはマリー・アントワネットのわがままから

ハンカチが現在見るような正方形になったのは、いつのことか? それは明確にわかっている。1785年6月、フランス・ブルボン王朝最後となった王、ルイ16世がハンカチについてのお触れを出したのだ。「余の国家の全土を通して、ハンカチーフは長さと幅を同じものとするべし」。すなわち、ハンカチは正方形でなければならないと命令したわけで、これ以後「ハンカチは正方形」という考え方が定着を見たのである。なぜ、そうなったのか? これにはルイ16世の后マリー・アントワネットの思惑が深く関与している。フランスでは貴婦人の象徴ともされたハンカチは、ロココ時代のフランスにおいて華麗な発展を遂げ、このお触れが出されるころにはさまざまな形、大きさのものがあふれていた。そうした珍奇なデザインのハンカチを独り占めにしたいと願ったマリー・アントワネットが、ルイ16世に頼んで作らせたのが、先のお触れだったのだ。彼女は果たして断頭台までそうしたハンカチを持っていけたのだろうか?