日本のファッション用語には海外でまったく通じないものが沢山ある。たわむれに抽出したところ、それは400語ほどにも達した。その中から和製英語に属するものを中心に200語あまりを抜粋。今回ここに紹介するのはそこから厳選した用語の類で、その多くはすでに一般化しているから、国内で使用する限りはまったく問題ないのだが、いざ海外でという時に困ることが多い。日本だけのおかしなファッション用語というのも、これはこれで面白いのだが・・・・・。

スタイリスト

海外でまったく通用しないファッション用語:スタイリスト

スタイリスト
stylist正しくは【ドレッサー】dresser【コスチューマー】 costumer【アクセソワリスト】accessoiri(仏)

本来は、文体に凝る人=美文家、服装のスタイルに凝る人=めかし屋・気取り屋といった意味だが、日本のファッション界ではスタイリングの設定者、つまり、タレントやミュージシャン、映画俳優、舞台俳優などの衣装を揃えたり、ファッション雑誌や広告(ポスター、TVコマーシャルなど)などで衣装をコーディネートするスペシャリストをさすことが多い。外国では別の意味になることが多いので、その使い方には注意しなければならない。

日本でスタイリストというと、テレビや雑誌などで目にする機会も多く、すっかりおなじみの職業となってしまった観があるけれど、外国へ行くとまったく違う仕事を意味することになるので、気をつけたい。アメリカでスタイリストといえば、それはアパレル企業において自社のシーズンごとのファッション企画の方向性を調整する人、つまり日本でいうファッション・コーディネーターを意味することが多くなる。だから映画やテレビなどでの衣装を調達する仕事という意味からいえば、ドレッサーとかコスチューマーというほうがぴったりくる。また、フランスでスタイリスト(正しいフランス語ではスティリスト stylisteという)というと、それはファッション・デザイナーを意味することになるのだ。日本的な意味でのスタイリストは、フランス語ではアクセソワリスト。本来はファッション・ショーや写真撮影の現場において、アクセサリーの調達を行う人の意だが、これが日本のスタイリストのイメージにいちばん近い。他に生地の設定者であるテキスタイル・スタイリストの略であったり、ヘア・デザイナーをスタイリストと呼ぶこともあって、この問題はややこしい。