日本のファッション用語には海外でまったく通じないものが沢山ある。たわむれに抽出したところ、それは400語ほどにも達した。その中から和製英語に属するものを中心に200語あまりを抜粋。今回ここに紹介するのはそこから厳選した用語の類で、その多くはすでに一般化しているから、国内で使用する限りはまったく問題ないのだが、いざ海外でという時に困ることが多い。日本だけのおかしなファッション用語というのも、これはこれで面白いのだが・・・・・。

ジーニスト

海外でまったく通用しないファッション用語:ジーニスト

ジーニスト
jianist

正しくは
【ウエル・ドレッサー・オブ・ジーンズ】
well dresser of jeans

日本のジーンズ業者で構成されるジーンズメーカー協議会が、毎年1回選定する「ベストジーニスト」ですっかり有名になった言葉。ピアニストなどになぞらえて、ジーンズの愛好家をジーニストと名づけたもので、もちろん和製語。ピアニストには「ピアノを巧みに弾く人」という意味があり、これにならえばジーニストのままでも「ジーンズの着こなし上手」となるが、正しくはやはりウエル・ドレッサー・オブ・ジーンズとなるだろう。

日本では、アイビー、ミニスカートと並んで、20世紀のファッション3大革命と称されるジーンズ。その一大ブームは、1970年代の前半に巻き起こった。当時の若者たちはみなベルボトムのジーンズにTシャツ、髪を長くし、ヒゲを伸ばした。それとともにジーンズに関連した新語も、次々とつくられた。たとえば、ジーニングという言葉。これは「ジーンズ化現象」をあらわしたもので、もともとは某ジーンズ・メーカーの企業スローガンとして用いられていたものが、当時のライフスタイルを象徴する言葉として一般に広まった。この jeaningを模して、ジーナリーjeanaryという言葉をつくった業界新聞もあったが、こうした日本製の造語は英語で表現するなら、ジーナイゼーションjeanizationということになる。そして、ジーニスト。これはさしずめジーンズ・マニア jeans maniaということだが、ベスト・ジーニストとなれば、やはりベスト・ドレッサーと同じ用法で、ウエル・ドレッサー・オブ・ジーンズとかスマート・ドレッサー・オブ・ジーンズというべきだ。、この種のキャンペーンで選び出されるベスト・ドレッサーに、本物の「着こなし上手」は多くない。