男子專科 1986年7月号 NO.268 より
オーソン・ウエルズ(アメリカ:映画作家&俳優:1915~1985)-6
頂上から始めるのはつらいものさ。
オーソン・ウエルズという才能がハリウッドからしだいに敬遠されるようになったのは、そのフィルム・メイキングに金がかかりすぎるということも理由のひとつとしてあったらしい。
はじめは「アメリカ人」というタイトルで書きあげられた『市民ケーン』の第1稿のために必要とされた予算は、RKO映画が出せる50万ドルの2倍以、当時の金で100万ドルを超えていたといいます。
神童にはちがいないが、怖ろしいほどの金食いムシだね、ウエルズって男は。こんなつぶやきをもらしながら、ハリウッドのタイクーンやプロデューサーたちは、その異才ぶりをながめていたのではないでしょうか。
それに、確かにワンダー・ボーイではあるけれど、全智全能のスーパー・マン、超人じゃないらしい。ということが『市民ケーン』のシナリオ・ワークの中身を通じて伝わってきたことも、神童神話に水をさすきっかけをつくったのかもしれない。
・・・次回更新に続く