日本のファッション用語には海外でまったく通じないものが沢山ある。たわむれに抽出したところ、それは400語ほどにも達した。その中から和製英語に属するものを中心に200語あまりを抜粋。今回ここに紹介するのはそこから厳選した用語の類で、その多くはすでに一般化しているから、国内で使用する限りはまったく問題ないのだが、いざ海外でという時に困ることが多い。日本だけのおかしなファッション用語というのも、これはこれで面白いのだが・・・・・。

セーター

海外でまったく通用しないファッション用語:セーター

セーター
sweater

正しくは
【スウェター】
sweater(米)
【ジャンパー】
jumper(英)

編んで作られたニット外衣のひとつで、基本的に頭からかぶって着るプルオーバー型と前開きになったカーディガン型の2種がある。セーターの語源になったスウェットsweatは「汗」の意味で、セーターとは「汗を出させるもの」という意味になる。セーターというのは、まことに日本的な発音で、正しくはスウェターとかスウェーターと発音しないと通じない。ただし、これは米語であって、イギリスではジャンパーというのが普通である。

セーターの起源は、15世紀末頃イギリスはチャネル諸島のジャージー島やガーンジー島で作られた手編みのフィッシャーマンズ・ニット(漁夫のセーター)にある。そのためにイギリスではこの種の毛糸上着を、長い間ジャージーとかガーンジーといい慣らしてきた。19世紀に入ると、機械編みのジャージー地が考案され、それはボートレースやフットボール、ラグビーなどのスポーツウェアに採用されることになる。そして、これがアメリカに導入され、さらなる発展を遂げていくのだが、アメリカではジャージーといういかにもイギリス的な表現をきらって、スポーツ選手がこれを着て汗をかくというところから、セーター(スウェター)という言葉を考案したのである。それは1890年代のことであった。これがセーターにまつわる語源話なのだが、現在のイギリスではジャージー、ガーンジーといった言葉はおろか、セーターの代名詞ともなっているプルオーバー(原意は、かぶって着る)といういい方さえ古語になっているという。そして、セーターをジャンパーという。ジャンパーといえば我々日本人にはあのジャンパーしか思い浮かばないけれど、これは本当だ。