日本のファッション用語には海外でまったく通じないものが沢山ある。たわむれに抽出したところ、それは400語ほどにも達した。その中から和製英語に属するものを中心に200語あまりを抜粋。今回ここに紹介するのはそこから厳選した用語の類で、その多くはすでに一般化しているから、国内で使用する限りはまったく問題ないのだが、いざ海外でという時に困ることが多い。日本だけのおかしなファッション用語というのも、これはこれで面白いのだが・・・・・。
キュロット・スカート
キュロット・スカート
culotte skirt
正しくは
【ディバイデッド・スカート】
divided skirt
または
【スプリット・スカート】
split skirt
パンツのように股が分かれているスカート。形式としてはパンツの一種だが、外見上はスカートに見えるところから、このように呼ばれる。キュロットはフランス語で「半ズボン」の意。原意は「小さなお尻」で、かつては貴族の下体衣として用いられた由緒正しき歴史をもつ。キュロット・スカートという表現はフランス語と英語による合成語で、まったくの日本的なネーミング。二股に分かれているところから、ディバイデッド・スカートあるいはスプリット・スカートというのが正しい。
しゃれたつもりでフランス語をくっつけて、結果、外国人には意味が通らなくなるという例が、ファッション用語には多い。小さくて、可愛いハンドバッグといおうとして、プチ・バッグなどといってしまうのがその一例だが、このキュロット・スカートというのは、その意味では最古参の部類に入る。もともとフランス語のキュロットだけでもパンツ式スカートの意味があって、これだけでも通じないことはないのだが、キュロットにはほかに17~18世紀のフランス貴族が用いたブルーマー型の半ズボンの意味もあるから、それに敬意を表して、どこかの日本人がキュロット・スカートという妙な合成語を作ってしまったのかもしれない。さて、これは英語ではディバイデッド(より正確にはディバイディドと発音)・スカートとかスプリット・スカートという。ディバイドもスプリットもともに「分かつ・割る」の意味である。股の部分が分かれているところから、そう呼ぶわけだ。フランス語で正しくはジュープ・キュロットjupe-culloteというそうだが、最近の英語では単にキュロッツcullottesとかパンツ・スカートの名でも通じるそうだ。これは簡潔でわかりやすい。