「取るに足らぬこと、些細なこと」を英語でトリビア trivia といい、当時のテレビ番組『トリビアの泉』以来、大変な雑学、蘊蓄ブームを巻き起こすようになっているが、ファッションの世界にはこれに類するトリビアがことのほか多く見受けられる。たとえば「腹巻き」は16世紀のヨーロッパで生まれ、日本では明治時代にキモノから洋服に変化したときに帯の代わりに用いられたという。またトートバッグはもともとキャンプ地で水を運ぶために使われていた、というのもこれを知らない人にとっては「目からウロコ」の話となるだろう。ファッションに関するトリビアは語源や発生にまつわる話が多いけれど、それを知っているとつい誰かに自慢したくなるものだ。それこそトリビアのトリビアたるゆえんなのだが、あの女性ファッション誌『JJ』のタイトルが「女性自身」のアルファベット綴りの略からきているって知っていました?

セーターは汗をかかせるものという意味

ファッション・トリビア蘊蓄学:セーターは汗をかかせるものという意味

セーターといえばもはや説明するまでもなく、あのセーターのことと決まっているが、その語源はSWEAT(汗)+ERで、「汗をかかせるもの」あるいは「汗を出すもの」という意味になる。したがってその発音も「スウェーター」という風にいわなければ、海外では絶対に通じないことになる。この言葉が生まれたのは1880年代のアメリカとされ、1890年代から広く用いられるようになった。それまでこの種のニットウエアは、イギリス式に「ジャージー」とか「ガーンジー」などと呼ばれていたのだが、アメリカに渡ってスポーツ選手が用いるようになり、ウォーミングアップ用の「発汗着」とされたところから「セーター」の名が誕生したのだ。しかし、1920年代になるとコットン・ジャージーで作られたスエット・シャツ(日本でいうトレーナー)が、スポーツ選手たちの「発汗着」として用いられるようになり、セーターはお洒落着への方向性を強めるようになっていった。