服装の流行は、まず「モード」として現われる。ここでいうモードとは「最新型」という意味で、デザイナーによる「創作」などがここに含まれる。これが流行に敏感な人たちの支持を得て拡大すると、「ファッション」と呼ばれるようになるのだ。ここでのファッションとはまさしく「流行」の意味。そして、ファッションがさらに普及し、大衆の間で定着を見るようになると、これは「スタイル」という言葉に置き換わる。スタイルとは、すなわち「定型」とか「様式」の意味。これを「流行の三角構造」などと呼んでおり、ファッション界では常識的な考え方となっているのだが、実際にはモード、ファッション、スタイルの使い分けはこれほど明確には行われてはいない。近ごろの流行を見ていると、モードとして生まれてはみたけれど、ファッションになるまでに消滅してしまう例が驚くほど多いことに気づく。これを「ファド」とか「クレイズ」と呼ぶことも覚えておきたい。

ツイッギーの来日でミニスカートが大流行

年代別『流行ファッション』物語:ツイッギーの来日でミニスカートが大流行

「ミニスカート」1965~1970

膝小僧が完全に出る丈の短いスカート、すなわちミニと呼ばれるスカートが世間を賑わせるようになるのは1965(昭和40)年頃からのこと。当時「ミニスカ」という短縮した言葉はない。ミニスカートそのものの誕生は60年代初頭のロンドンからとされるのが定説で、チェルシー街をゆく黒いストッキングと短いスカートの女の子たちの姿に魅せられた女性デザイナー、マリー・クワントが商品化したのが最初とされる。これが1965年春夏向けパリ・オートクチュール・コレクションの舞台に乗せられ物議をかもす。デザインしたのはアンドレ・クレージュという前衛派の男性デザイナーだが、この時のミニは膝上5㌢くらいのものだった。日本でもこのころから先進的な女性によってはかれていたが、ブームとなったのはなんといってもミニの女王と呼ばれるモデル、ツイッギーの来日(昭和42)からのこと。そしてミニスカートはまたたく間に大流行してしまった。