「取るに足らぬこと、些細なこと」を英語でトリビア trivia といい、当時のテレビ番組『トリビアの泉』以来、大変な雑学、蘊蓄ブームを巻き起こすようになっているが、ファッションの世界にはこれに類するトリビアがことのほか多く見受けられる。たとえば「腹巻き」は16世紀のヨーロッパで生まれ、日本では明治時代にキモノから洋服に変化したときに帯の代わりに用いられたという。またトートバッグはもともとキャンプ地で水を運ぶために使われていた、というのもこれを知らない人にとっては「目からウロコ」の話となるだろう。ファッションに関するトリビアは語源や発生にまつわる話が多いけれど、それを知っているとつい誰かに自慢したくなるものだ。それこそトリビアのトリビアたるゆえんなのだが、あの女性ファッション誌『JJ』のタイトルが「女性自身」のアルファベット綴りの略からきているって知っていました?

デカ(刑事)の語源は和服から生まれた

ファッション・トリビア蘊蓄学:デカ(刑事)の語源は和服から生まれた

刑事のことを「デカ」と呼ぶのはすっかりなじんでしまっているが、これは和服に語源がある。和服の中に「角袖」と呼ばれる機能的なキモノがあるが、この「カクソデ」の中の部分を略して「カデ」、それを引っくり返して「デカ」といったところから、すっかり一般化してしまったのである。では、なぜこんなことが起こったのか? 日本の警察は明治時代の初期、フランスの警察制度を参考にして創設されたもので、警察官の制服もフランス風のオシャレなものだった。これはこれで目立ってよかったのだが、隠密行動をとるには目立ちすぎる。そこで捜査に当たる刑事には私服を着用させることにした。当時、私服といえば和服しかない。で、動きのとりやすい「角袖」を着ることとなったのだ。そうした刑事は実際に「角袖巡査」とも呼んでいたそうで、そこから犯罪者仲間の中では「カクソデ」→「カデ」→「デカ」という隠語が作られたのである。