「取るに足らぬこと、些細なこと」を英語でトリビア trivia といい、当時のテレビ番組『トリビアの泉』以来、大変な雑学、蘊蓄ブームを巻き起こすようになっているが、ファッションの世界にはこれに類するトリビアがことのほか多く見受けられる。たとえば「腹巻き」は16世紀のヨーロッパで生まれ、日本では明治時代にキモノから洋服に変化したときに帯の代わりに用いられたという。またトートバッグはもともとキャンプ地で水を運ぶために使われていた、というのもこれを知らない人にとっては「目からウロコ」の話となるだろう。ファッションに関するトリビアは語源や発生にまつわる話が多いけれど、それを知っているとつい誰かに自慢したくなるものだ。それこそトリビアのトリビアたるゆえんなのだが、あの女性ファッション誌『JJ』のタイトルが「女性自身」のアルファベット綴りの略からきているって知っていました?
ジーンズの誕生は1947年のこと
ジーンズが1947年に誕生したなどというと、大抵の人からお叱りを受けることだろう。なんとなればジーンズは、リーバイ・ストラウスがサンフランシスコで1850年に作ったキャンバス地のズボンが最初とか、1873年、リベット打ちのパンツの特許を取った時がリーバイ・ジーンズの始まり、などという声が大挙押し寄せてくるに決まっているのだから。ここでいいたいのは何もジーンズの起源についての話ではなく、その名称についての由来を問うているのだ。この機能的なデニムのパンツに「ジーンズ」という名称を付けたのはラングラーのブランド名で知られる「ブルーベル社」で、正確には1947年にラングラーに「オーセンティック・ウエスタン・ジーンズ」と命名している。リーバイ・ストラウス社が「ジーンズ」という名を使うようになるは1955年以降のこと。しからば、それ以前は何と呼んでいたのか? 驚くなかれ「オーバーオールズ」というのがその答えとなる。