カラーパープル
ブルースからゴスペルまで、黒人音楽のすべてが物語を盛り上げる。
やたらに派手なコピーを作ったり、有名芸能人の感想を大きく掲載したり・・・・・・と、最近の映画界はあの手この手の話題づくりを考え、劇場に足を運ばせようと一生懸命だ。
ところが、ここで紹介する作品『カラーパープル』は、宣伝マンが知恵をしぼって話題づくりをする必要がないほど、映画そのものに興味深い話題がいっぱいつめこまれている超名画である。そして、そのひとつに強いインパクトがあるので胸がキュンと熱くなる。
すでに、85年度のアカデミー賞にノミネートされたことによって、作品のレベルが高く、内容が深いことは十分にPRされた。それに、この映画は、『未知との遭遇』『ショーズ』『E・T』などの大ヒットを放ってきた、スティーブン・スピルバーグ監督がメガホンをとり、自らプロデューサーもつとめているところから、”あのSFの王様が、美しい人間愛のドラマを作ったのか?”ということで話題が大きく広がった。
スピルバーグ監督にとっては、30代最後の年に敢えて新たな旅に発つ!ということなのだが、SFの王様が今までとはガラリ変わったイメージの映画に挑戦することは、失敗は許されないし、駄作になったら、SF映画の製作そのものにも影響がでてくるから、決断を下した陰には、重大な決意が秘められていたのに違いない。