日本のファッション用語には海外でまったく通じないものが沢山ある。たわむれに抽出したところ、それは400語ほどにも達した。その中から和製英語に属するものを中心に200語あまりを抜粋。今回ここに紹介するのはそこから厳選した用語の類で、その多くはすでに一般化しているから、国内で使用する限りはまったく問題ないのだが、いざ海外でという時に困ることが多い。日本だけのおかしなファッション用語というのも、これはこれで面白いのだが・・・・・。

カフスボタン

海外でまったく通用しないファッション用語:カフスボタン

カフスボタン
cuffs button

正しくは
【カフ・リンクス】
cuff links

ドレス・シャツ(ワイシャツ)の袖口を飾る装飾的な留め具の総称。フォーマル・ウエアに多く用いられるが、ごくシンプルなものならビジネス・ウエアにもOKである。より正確にいうならダブル・カフスのシャツにのみ用いるメンズ・アクセサリーということになる。カフスボタンというのは、まったくの和製英語で、英米ではカフ・リンクス(袖口用の輪・環という意味)というのがふつう。カフスボタンでは袖口ボタンの総称になってしまう。

ドレス・シャツの袖口(カフ)を留め合わせる飾りもののボタンを、日本ではカフスボタンと呼んでいるが、これは外 国では通じない。外国ではスーツやコートなども含め、袖口につくボタンのことを総じてカフスボタン(これも正確にはカフ・ボタンであるが)、あるいはスリーブ・ボタンと呼んでいるわけで、これがあの飾りものの留め具を意味することはないのである。ましてや関西風の発音のカウスボタン(そんな名前の漫才コンビがいたが)では、絶対に通用しない。もっとも、イギリスでカフ・リンクスという言葉が登場したのは1778年のこととされ、それ以前はカフ・ボタンとかスリーブ・ボタンと呼ばれていた時代もあったようだが、いまではカフ・リンクスといういい方が定着している。ところで、カフ・リンクスを使用するのはダブル・カフスのシャツと決まっているが、これをフレンチ・カフスともいう。対して、ふつうの一重のシャツ袖はバレル・カフスといい、これを一般にはシングル・カフスと呼んでいるのだ。してみると、カフスボタンはシングル・カフス専用の貝ボタンを意味し、カフ・リンクスはダブル・カフス専用の留め具ということになってくる。ちなみに両用型のコンバーティブル・カフもある。