日本のファッション用語には海外でまったく通じないものが沢山ある。たわむれに抽出したところ、それは400語ほどにも達した。その中から和製英語に属するものを中心に200語あまりを抜粋。今回ここに紹介するのはそこから厳選した用語の類で、その多くはすでに一般化しているから、国内で使用する限りはまったく問題ないのだが、いざ海外でという時に困ることが多い。日本だけのおかしなファッション用語というのも、これはこれで面白いのだが・・・・・。

トレーナー

海外でまったく通用しないファッション用語:トレーナー

トレーナー
trainer

正しくは
【スウェット・シャツ】
sweat shirt

スポーツ選手が競技の前後に着用するニットウエアの一種。裏起毛させた綿ジャージで作られ、長袖の厚手Tシャツといった感じにデザインされているのが特徴。トレーナーは純然たる和製英語で、スポーツ訓練者(トレーナー)がよく着ているところから命名されたもの。正しい英語ではスウェット・シャツといい、スウェットは汗の意味。これは、本来スポーツ選手がトレーニング時に汗を吸い取りやすくするために用いたシャツの意。

アメリカのメンズ・ショップで「トレーナーをくれ」といっても、まったく通じなかったという日本人の話を聞かされる。それもそのはず、トレーナーはまったくの和製英語で、正しくはスウェット・シャツといわなければならないのだ。 これは「汗取り用のシャツ」という意味で、もとは1924年のパリ・オリンピックの時にアメリカ選手用に作られたのが最初だという。日本に登場したのが1956年のこと それは生成りの綿メリヤスで作られたボート・ネック型のプルオーバーだった。そうしたアメリカ生まれのスウェット・シャツにトレーナーという名称をつけたのは、日本のアイビー・ファッションの教祖とされる石津謙介氏ひきいるVANヂャケットの面々。おそらくは石津氏自らの命名と思われ、氏は自社の新商品にも次々とわかりやすいネーミングをつけていったのである。たとえば、スタジアム・ジャンパー、スウィングトップ、そしてアイビー・キャップなど。スポーツ・ジムのトレーナーが着ているシャツだから″トレーナー″とする。VANヂャケットが本格的なアメリカン・タイプを販売するのは1961年のこと。そこからアイビーの流行に火がついた。