日本のファッション用語には海外でまったく通じないものが沢山ある。たわむれに抽出したところ、それは400語ほどにも達した。その中から和製英語に属するものを中心に200語あまりを抜粋。今回ここに紹介するのはそこから厳選した用語の類で、その多くはすでに一般化しているから、国内で使用する限りはまったく問題ないのだが、いざ海外でという時に困ることが多い。日本だけのおかしなファッション用語というのも、これはこれで面白いのだが・・・・・。

海外でまったく通用しないファッション用語:ピアス

ピアス

ピアス
pierce

正しくは
【ピアースド・イアリング】
pierced earring

耳たぶに穴をあけて飾るイアリング。ピアス(正しくはピアースと発音)は「突き刺す・突き抜く・穴をあける」という意味で、ピアスというだけでは意味が通じない。正しくいうならピアースド・イアリングで、さらにていねいに表現するならピアースド・イアー・イアリング pierced-ear earringといわばならない。ボディピアスというのも変な日本語で、これも正しくいうならボディ・ピアシング、またピアースド・ボディ・リングということになるだろう。

耳たぶに穴をあけて、そこに装飾物を飾るという行為は古い昔から行われていたようで、それはスクリュー・イアリング(スクリュー・バック・イアリングとも)と呼ばれる今日式の方法が、パリで考案される1890年代まで続いていたという。つい最近までピアスというと、茶髪と並んで不良少年・少女たちの代名詞とされるような時代感覚があったが、いまでは普通のお嬢さんだけでなく、オバさんやオジさんまでもが平気で耳に穴をあけるようになって、ピアス独特のいかがわしい雰囲気もすっかり失われた。これはいったい喜ぶべきことなのであろうか?おまけに昨今はボディ・ピアシングも大流行りで、若い人たちはこれを口ピー(くちピー)とか舌ピー、へそピー、乳ピー(ちちピー)などと、得々として口にする。まあ、一種の世紀末現象といってしまえば、それまでなのだが・・・・・・。ただし、外国でいうならピアースド・イアリングとかピアースド・ボディ・リングなどといってもらいたい。ピアス(刺す)だけでは、どこを刺してほしいのかわからないし、ボディピアスに至っては、1994年ころから日本だけで使われるようになった言葉、という説もあるくらいなのだから。