サヴィル・ロウに妖精の粉をふりかけたスウィンギン60’Sのピーターパン(1)
ロンドンのシックスティーズ
第二次世界大戦以降、それまで世界のメンズファッションに多大な影響を及ぼしていた英国プリンスのパワーが衰え、代わりに新興国アメリカの若い力が台頭してきた。
ロンドンでも50年代には若い女性の間でボビー・ソクサーが流行し、若きフランク・シナトラが人気を集めた。ズートスーツもドーバー沖半マイルまで迫ってきたが、かろうじてニューエドワーディアン(テディボーイルック)で英国のオリジナル性は保たれる。
しかしモッズルックは本人たちが気づかないところでアメリカの影響を受けていたのである。モッズルックのプロトタイプは1957年にカーナビー・ストリートで店を開いたジョン・スティーブンが作った。彼はこのルックのヒントを、細みのスーツでスクーターを乗り回すイタリアの若者たちから得たと言われているが、じつはイタリアの若者はアメリカのアイビーリーガーの着こなしをマネしていたことは、案外知られていない事実だ。
・・・次回更新に続く