昨日と今日の男の博物誌:サム・シェパード 男子專科 1986年2月号 NO.263

男子專科 1986年2月号 NO.263 より

サム・シェパード(アメリカ:劇作家・俳優:1943~)-4

天才?不満足が少し深いだけさ。

父親のサム・ロジャーズ・シニアは、軍隊を辞めたあとカレッジの単位を取り直そうと勉学に励むほど実直一途なヒトだったようです。その息子が「夢見る力」を自由に遊ばせるナイーブな想像力の持主だったとは、ちょっと意外な気がしないでもない。むろん、あらゆる才能がつねに意表をついて生まれ出てくるというこの世の伝統に即していえば、のちのサム・シェパードとなるスティーブ少年の才気はべつに怪しむにあたらない自然現象だといえます。

だが、そうはいっても、オレンジとアボガドの林がつづくのどかなカントリー・タウンからホットに研ぎすまされた同時代感覚をみなぎらせたイキのいいアメリカの才能がやってくるんですから、分からないもんです。

現在の本人に言わせると、スティーブ君は、「尊大で、不愉快な、くそガキ」だったそうですが、こんなふうに子ども時代の自分を悪しざまにののしることができるというのもまたカッコのよいものですね。

・・・次回更新に続く