「取るに足らぬこと、些細なこと」を英語でトリビア trivia といい、当時のテレビ番組『トリビアの泉』以来、大変な雑学、蘊蓄ブームを巻き起こすようになっているが、ファッションの世界にはこれに類するトリビアがことのほか多く見受けられる。たとえば「腹巻き」は16世紀のヨーロッパで生まれ、日本では明治時代にキモノから洋服に変化したときに帯の代わりに用いられたという。またトートバッグはもともとキャンプ地で水を運ぶために使われていた、というのもこれを知らない人にとっては「目からウロコ」の話となるだろう。ファッションに関するトリビアは語源や発生にまつわる話が多いけれど、それを知っているとつい誰かに自慢したくなるものだ。それこそトリビアのトリビアたるゆえんなのだが、あの女性ファッション誌『JJ』のタイトルが「女性自身」のアルファベット綴りの略からきているって知っていました?

ツッパリ系ファッション第1号はイタリア帰りの「マカロニ」だった

ファッション・トリビア蘊蓄学:ツッパリ系ファッション第1号はイタリア帰りの「マカロニ」だった

いつの時代にも世の流れに対して反抗の態度を見せる「ツッパリ」たちがいるものだが、その元祖といえる若者たちが登場したのは18世紀の英国ロンドンでのことだった。1760年代に英国の貴族や上流階級の子息たちの間で、ヨーロッパ大陸へ旅行することがブームとなる。ヨーロッパ文化の古典とされるギリシャ、イタリア、フランスへの旅がとりわけ人気だったのだが、彼らが持ち帰ったのは当時のイタリアに見る不良たちの風俗と奇抜な古典的ファッションだった。それはどんどん合理化されてゆく英国の服装とはまったく異なるもので、反抗的な心情を持つ若者たちにはぴったりのものだったのだ。彼らは大陸通が集まるとされる「マカロニ・クラブ」という倶楽部にたむろし、夜毎その粋を競うようになる。ここから変な格好をして気勢を挙げる若者たちのことを「マカロニーズ」、つまり、「マカロニ族」と呼ぶようになったのである。それは1780年代の初期まで続いたツッパリ系ファッションの第1号であった。