男子專科 1986年7月号 NO.268 より
ウッディ・アレン(アメリカ:俳優・監督・作家:1935~)-4
高卒だって?30年遅いね。
ミア・ファロー演じる女博士の努力の甲斐あって、ゼリグ氏の病は一応快癒したかに見えたのですが。その快気祝いの食事を愉しんだギリシャ料理店から出てきたゼリグ氏は、またまたリッパにギリシャ人に変身して、なんとギリシャ語をべらべら喋りまくっている!
もう手がつけられないといった結末も笑いを誘ったものです。そして、笑いながら妙な気分にさせられました。それは、アレンが用意したこの結末の救いのなさ、ペシミスティックな結論のせいでしょう。
結局、カメレオン症は治らず、これからも永遠に変身をつづけてゆくしかないゼリグ氏の運命の苛酷さ、滑稽さ。そんなイメージを思い描いているうちに、考えてみれば俺たちだってゼリグ氏と同類みたいなものだな、なにしろいい気で浅ましい変身願望のかたまりだからな、そんな声にならないつぶやきがわいてきたのを覚えています。
・・・次回更新に続く