「取るに足らぬこと、些細なこと」を英語でトリビア trivia といい、当時のテレビ番組『トリビアの泉』以来、大変な雑学、蘊蓄ブームを巻き起こすようになっているが、ファッションの世界にはこれに類するトリビアがことのほか多く見受けられる。たとえば「腹巻き」は16世紀のヨーロッパで生まれ、日本では明治時代にキモノから洋服に変化したときに帯の代わりに用いられたという。またトートバッグはもともとキャンプ地で水を運ぶために使われていた、というのもこれを知らない人にとっては「目からウロコ」の話となるだろう。ファッションに関するトリビアは語源や発生にまつわる話が多いけれど、それを知っているとつい誰かに自慢したくなるものだ。それこそトリビアのトリビアたるゆえんなのだが、あの女性ファッション誌『JJ』のタイトルが「女性自身」のアルファベット綴りの略からきているって知っていました?

ルイ13世のカツラはハゲ隠しのためだった

ファッション・トリビア蘊蓄学:ルイ13世のカツラはハゲ隠しのためだった

フランス・ブルボン王朝が絶対的な優勢を唱えた17世紀から18世紀にかけて、ヨーロッパの貴族たちの間ではカツラが大流行した。というよりカツラなしでは一人前の男とは見なされない時代が長く続いたのである。このきっかけを作ったのはブルボン王朝の基礎を作ったといわれるルイ13世(在位1610~43)であった。というのもルイ13世は「若ハゲ」に悩んでおり、それを隠すためにカツラを用いたのだ。王様のなさる行為は下々に伝わり、それがファッションになるというのが当時の流行で、カツラはまたたく間に広がり、その形も段々と大きくなっていった。18世紀、ルイ15世(在位1715~74)の時代になると、男性のカツラは小さくなる傾向を見せるようになり、また白くすることが流行するが、女性の髪形は反対に巨大なものへと変化していった。フランス革命後には髪全体を大きく高くし、箱庭のような装飾をほどこしたり、大きな帆船を飾る髪形まで登場するようになって人々を驚かせるのである。