昨日と今日の男の博物誌:ウッディ・アレン

男子專科 1986年7月号 NO.268 より

ウッディ・アレン(アメリカ:俳優・監督・作家:1935~)-5

高卒だって?30年遅いね。

笑わせて、面白がらせて、ガックリさせる。

結末がちょっと意地悪で、アンチ・ハッピーの優しい非情さといったムードをもっている。というのが、アレン・ムービーの特質のひとつと言っていいようです。『カメレオンマン』を見終わった人から、なんだか厭世的な気分になってきたよ、などといったつぶやきが聞こえてきたら、作者はきっとたいへん喜ぶにちがいありません。「むろん、ぼくの映画が人を苦しめ、ミジメな気分にさせるなら、ぼくは自分の仕事を果たした気分になるだろうね」

こんなふうにアレンは語っています。

人に知らず知らずのうちに「ミジメでコッケイな存在」としての自分を意識させるコメディの罠。まったく油断のならない危険な天才がいるものです。

・・・次回更新に続く