「取るに足らぬこと、些細なこと」を英語でトリビア trivia といい、当時のテレビ番組『トリビアの泉』以来、大変な雑学、蘊蓄ブームを巻き起こすようになっているが、ファッションの世界にはこれに類するトリビアがことのほか多く見受けられる。たとえば「腹巻き」は16世紀のヨーロッパで生まれ、日本では明治時代にキモノから洋服に変化したときに帯の代わりに用いられたという。またトートバッグはもともとキャンプ地で水を運ぶために使われていた、というのもこれを知らない人にとっては「目からウロコ」の話となるだろう。ファッションに関するトリビアは語源や発生にまつわる話が多いけれど、それを知っているとつい誰かに自慢したくなるものだ。それこそトリビアのトリビアたるゆえんなのだが、あの女性ファッション誌『JJ』のタイトルが「女性自身」のアルファベット綴りの略からきているって知っていました?
マネキンガールは高島屋が最初
デパートの売場や催し物の会場でデモンストレーションを行うマネキンガールの登場は、1927(昭和2)年、東京・日本橋の「高島屋」が新築落成開店大売出しの見世物として、当時の日活映画の女優に新しいファッションを着せてショーウインドーに出演させたのが最初といわれる。それは「三越のファッションショー」のわずか1週間ばかり前のことで、世人をおおいに驚かせたという。また1928(昭和3)年には、これまた高島屋が上野公園で行われた御大礼記念博覧会にマネキンガールを登場させ、これが本格的なマネキンガールの最初ともいわれている(1922年の上野公園博覧会説もあり)。いずれにしてもマネキンガールを用いたのが高島屋であることは間違いなく、これは女優たちのアルバイトとしても喜ばれたという。マネキンガールといっても現在のような「派遣店員」といったものではなく、動かないファッションモデルといった感じのものであったが……。ちなみにマネキン人形は1925(大正14)年に登場している。