ファッションについては大概のことは知っているつもりだが、それでもどうしてもわからないことは多い。たとえば「リゾート着はなぜ派手なプリント柄が多いの?」と問われても、リゾートウエアってそんなものでしょ、とか、そうじゃない大人しい無地のリゾート着ってのも結構あるよ、などと答えるしかないのだ。ま、これもファッション・トリビアに関するようなもので、知っておいて損にはならないが、知らなくてもどうでもよいことが多い。ただしフォーマルウエアについての知識、こればかりは知っておいてけっして損にはならない。というよりも知らないと恥をかくことにもなりかねないのだ。何をどう着ようがかまわない自由な着こなしが横行する現代の世の中だが、フォーマルウエアの世界だけはそういうわけにはいかない。

なぜターンナップのことをカブラとかマッキンというの?

服装スタイルの「謎・不思議」: なぜターンナップのことをカブラとかマッキンというの?

紳士パンツのターンナップ(裾の折り返し)は、20世紀に入ってから一般化したもので、ビジネス用のスーツには1910年代に至って採用されたといわれている。なおターンナップというのは英国式の呼称であって、アメリカではカフということのほうが多いのだ。さて、カブラとかマッキンというのは日本だけの言い方で、カブラはターンナップをターニップと聞き間違えたところからの命名とされている。ターニップとは野菜の蕪(かぶら)のことで、単に綴りを間違えたところから大いなる誤解が生じたのだ。ほかに弓の矢の鏑(かぶら)に形が似ているからとか、英語のカフを複数の意味で「カフ等(ら)」としたところから生まれたなどと、これにも諸説紛々たるものがある。しからばマッキンというのは何か? これはアメリカ合衆国第25代大統領ウィリアム・マッキンリー(1843~1901)の名前からきたとされている。マッキンリー大統領が好んだデザインということで、日本ではこのように呼ばれるようになったというのだが、真実はよく分からない。