「取るに足らぬこと、些細なこと」を英語でトリビア trivia といい、当時のテレビ番組『トリビアの泉』以来、大変な雑学、蘊蓄ブームを巻き起こすようになっているが、ファッションの世界にはこれに類するトリビアがことのほか多く見受けられる。たとえば「腹巻き」は16世紀のヨーロッパで生まれ、日本では明治時代にキモノから洋服に変化したときに帯の代わりに用いられたという。またトートバッグはもともとキャンプ地で水を運ぶために使われていた、というのもこれを知らない人にとっては「目からウロコ」の話となるだろう。ファッションに関するトリビアは語源や発生にまつわる話が多いけれど、それを知っているとつい誰かに自慢したくなるものだ。それこそトリビアのトリビアたるゆえんなのだが、あの女性ファッション誌『JJ』のタイトルが「女性自身」のアルファベット綴りの略からきているって知っていました?
スーツとスイートルームの関係
スーツという言葉の意味を正確にご存じだろうか? スーツを英語で正しく綴るならSUITSとなる。いうまでもなくSUIT(スート)の複数形で、これは「一揃い」また「(トランプの)組」という意味なのである。つまり、ジャケットとパンツ、時にベストが一揃い、組みになった服ということでスーツと呼ばれるのだ。また一流ホテルには必ずスイートルームというのがあるが、これをSWEET ROOMとしてカップル用の「甘い雰囲気の部屋」などと解する人がいるが、これは完全な間違い。スイートルームはSUITE ROOMと綴り、ベッドルームとリビングとバスルームが一揃いとなっている「一続きの部屋」をいうのである。さてスーツとスイート、ここまできたらもはやお分かりだろう。両者は語源を同じくしており、ともに古代フランス語のSIEUTE(ショウト)からきている。その意味は「次に続く」ということ。スーツ大好き人間だったら、ここまで知っておきたいもの。