ファッションについては大概のことは知っているつもりだが、それでもどうしてもわからないことは多い。たとえば「リゾート着はなぜ派手なプリント柄が多いの?」と問われても、リゾートウエアってそんなものでしょ、とか、そうじゃない大人しい無地のリゾート着ってのも結構あるよ、などと答えるしかないのだ。ま、これもファッション・トリビアに関するようなもので、知っておいて損にはならないが、知らなくてもどうでもよいことが多い。ただしフォーマルウエアについての知識、こればかりは知っておいてけっして損にはならない。というよりも知らないと恥をかくことにもなりかねないのだ。何をどう着ようがかまわない自由な着こなしが横行する現代の世の中だが、フォーマルウエアの世界だけはそういうわけにはいかない。

ウエディングドレスはなぜ白い?

服装スタイルの「謎・不思議」: ウエディングドレスはなぜ白い?

洋装の花嫁さんは白いウエディングドレスを着るものと決まっているようだが、このように全身純白の衣装となったのは18世紀以降のこととされる(一説には1840年の英国ヴィクトリア女王の結婚衣装がきっかけ)。古代ローマ時代にあってはローマ人の花嫁は炎色のベールを用いたとされ、キリスト教徒は白あるいは紫の衣装を身につけた。簡易な結婚式の場合でもウエディングベールだけは必ず用いるのが習わしだが、これは13~14世紀ごろから白いベールが花嫁の一般的なかぶりものとして広まっていったという。純白という色にこだわるのは純潔の証という意味もあるが、婚家に対して「どんな色にも染まります」という決意を示しているようにも見える。これは洋の東西を問わず、日本でも「白無垢(しろむく)」の花嫁衣装が、近年よく用いられるようになっている。再婚の場合には薄いブルーやピンクなどの色のついたものも用いられるが、お隣の中国では真っ赤なウエディングドレスというのも見られる。中国では「白」は不吉な色とされているのである。