「取るに足らぬこと、些細なこと」を英語でトリビア trivia といい、当時のテレビ番組『トリビアの泉』以来、大変な雑学、蘊蓄ブームを巻き起こすようになっているが、ファッションの世界にはこれに類するトリビアがことのほか多く見受けられる。たとえば「腹巻き」は16世紀のヨーロッパで生まれ、日本では明治時代にキモノから洋服に変化したときに帯の代わりに用いられたという。またトートバッグはもともとキャンプ地で水を運ぶために使われていた、というのもこれを知らない人にとっては「目からウロコ」の話となるだろう。ファッションに関するトリビアは語源や発生にまつわる話が多いけれど、それを知っているとつい誰かに自慢したくなるものだ。それこそトリビアのトリビアたるゆえんなのだが、あの女性ファッション誌『JJ』のタイトルが「女性自身」のアルファベット綴りの略からきているって知っていました?

ファッションの語源は「作ること」「すること」

ファッション・トリビア蘊蓄学:ファッションの語源は「作ること」「すること」

ファッションは何で「ファッション」っていうの? 某ファッション学校の学生から素朴きわまる質問を受けて、一瞬絶句してしまった。で、語源から調べてみたら、思わぬ発見をした。ファッションの語源はラテン語のFACTIO(ファクティオ)にあり、これは「作ること、すること」といった意味であるという。さらにさかのぼればFACIO(ファチオ)に突き当たり、これは「作る、用意する」という意味になる。つまり、ファッションという言葉の元は「流行」でも「服飾」でもなく、ただものを作ることにあったのだ。人間はまずものを作るところから文化が芽生えたといわれるけれど、そう考えると面白い。ちなみに現在のファッションという言葉も、動詞で用いると「形作る、作る」という意味になるのだ。そうしたファクティオが古代フランス語に入り、中世英語に転訛していくうちにようやくFASHIONという綴りになる。それは1576年のころだったという。