「取るに足らぬこと、些細なこと」を英語でトリビア trivia といい、当時のテレビ番組『トリビアの泉』以来、大変な雑学、蘊蓄ブームを巻き起こすようになっているが、ファッションの世界にはこれに類するトリビアがことのほか多く見受けられる。たとえば「腹巻き」は16世紀のヨーロッパで生まれ、日本では明治時代にキモノから洋服に変化したときに帯の代わりに用いられたという。またトートバッグはもともとキャンプ地で水を運ぶために使われていた、というのもこれを知らない人にとっては「目からウロコ」の話となるだろう。ファッションに関するトリビアは語源や発生にまつわる話が多いけれど、それを知っているとつい誰かに自慢したくなるものだ。それこそトリビアのトリビアたるゆえんなのだが、あの女性ファッション誌『JJ』のタイトルが「女性自身」のアルファベット綴りの略からきているって知っていました?

雑誌『メンズクラブ』は婦人誌から生まれた

ファッション・トリビア蘊蓄学:雑誌『メンズクラブ』は婦人誌から生まれた

メンズファッション誌『メンズクラブ』が、今年2017年、創刊63年を迎えた。次から次へと消えてゆくメンズファッション誌が多い中で、これはまことに喜ばしいことであると、長年メンズファッションに携わってきた立場から、お祝い申し上げる次第。さて、その『メンズクラブ』、いや正しくは『MEN、S CLUB』としなければいけないが、これはそもそも1954(昭和29)年、婦人雑誌『婦人画報』の増刊号として創刊されたものなのだ。タイトルも『男の服飾読本』といったもので、これはそれまで『婦人画報』の中で連載されていた「男の服飾読本」というページが独立した体裁をとっている。こうした形をとって創刊されたメンズファッション誌は実はその前にもあって、1950(昭和25)年に『スタイル』という婦人誌から独立した『男子專科』というのがそれだった。この両誌は長い間「ダンセン」vs.「メンクラ」というライバル時代を作ったものだったが、『男子專科』は残念なことに1990年代にその生命を失ってしまった。