服装の流行は、まず「モード」として現われる。ここでいうモードとは「最新型」という意味で、デザイナーによる「創作」などがここに含まれる。これが流行に敏感な人たちの支持を得て拡大すると、「ファッション」と呼ばれるようになるのだ。ここでのファッションとはまさしく「流行」の意味。そして、ファッションがさらに普及し、大衆の間で定着を見るようになると、これは「スタイル」という言葉に置き換わる。スタイルとは、すなわち「定型」とか「様式」の意味。これを「流行の三角構造」などと呼んでおり、ファッション界では常識的な考え方となっているのだが、実際にはモード、ファッション、スタイルの使い分けはこれほど明確には行われてはいない。近ごろの流行を見ていると、モードとして生まれてはみたけれど、ファッションになるまでに消滅してしまう例が驚くほど多いことに気づく。これを「ファド」とか「クレイズ」と呼ぶことも覚えておきたい。
女子中高生の服装をモチーフとした、フレンチ・カジュアル
「オリーブ少女ルック」1983
平凡出版(現・マガジンハウス)から『ポパイ』のガールフレンド誌として発刊されたのが『オリーブ』という雑誌。当初は『ポパイ』の増刊号としての出版だったが、1982(昭和57)年に独立し、女子中高生たちの間に独自の地位を確立した。最初のうちこそアメカジ路線を通していたが、キャッチフレーズが「マガジン・フォー・シテイーガールズ」から「マガジン・フォー・ロマンチックガールズ」に変更された83年から″カワイイ″系ファッションに乗り移り、ここから独特の「オリーブ少女ルック」が生まれるようになる。それを代表するのがDCブランドの「ピンクハウス」の服をまとったロリータ調のファッション。まるでお人形さんのようなフリフリスカートや甘い感覚のニットなどがそれで、日本各地にオリーブ少女たちが氾濫した。さらに『オリーブ』は「リセエンヌ」と呼ばれるフランスの女子中高生の服装をモチーフとしたファッションを提唱し、これがフレンチ・カジュアルの流行につながっていった。元祖フレカジといわれる所以がここにある。