「取るに足らぬこと、些細なこと」を英語でトリビア trivia といい、当時のテレビ番組『トリビアの泉』以来、大変な雑学、蘊蓄ブームを巻き起こすようになっているが、ファッションの世界にはこれに類するトリビアがことのほか多く見受けられる。たとえば「腹巻き」は16世紀のヨーロッパで生まれ、日本では明治時代にキモノから洋服に変化したときに帯の代わりに用いられたという。またトートバッグはもともとキャンプ地で水を運ぶために使われていた、というのもこれを知らない人にとっては「目からウロコ」の話となるだろう。ファッションに関するトリビアは語源や発生にまつわる話が多いけれど、それを知っているとつい誰かに自慢したくなるものだ。それこそトリビアのトリビアたるゆえんなのだが、あの女性ファッション誌『JJ』のタイトルが「女性自身」のアルファベット綴りの略からきているって知っていました?
ミニの女王ツイッギーは元・清掃係だった
1960年代のミニスカート・ブームで一躍名を挙げたツイッギー(1949年イギリス生まれ)、本名レスリー・ホーンビーは、15歳のころ美容院で清掃係のアルバイトをやっていた。身長168(センチ)、体重41(キログラム)、バスト79(センチ)、ウエスト56(センチ)、ヒップ81(センチ)という少年のような姿態と妖精のような雰囲気に惹かれたのが、当時その美容院に出入りしていたデザイナーのジャスティン・ドゥ・ヴィユヌーヴという男だった。彼のスカウトによってレスリーは「ツイッギー」(小枝のようにスリムな体形というところから)という愛称で売り出され、雑誌『ウーマンズ・ミラー』のヘアモデルとなり、1965年には『アメリカン・ヴォーグ』に登場する。ここから後はとんとん拍子の大出世、ミニスカートの女王とかミニの妖精、歌うファッション・モデルなどと持ち上げられて、世界中にツイッギー・ブームをもたらしたのだ。そのデザイナー氏はツイッギーのマネージャーとなり、後に婚約したが別れた。