ファッションについては大概のことは知っているつもりだが、それでもどうしてもわからないことは多い。たとえば「リゾート着はなぜ派手なプリント柄が多いの?」と問われても、リゾートウエアってそんなものでしょ、とか、そうじゃない大人しい無地のリゾート着ってのも結構あるよ、などと答えるしかないのだ。ま、これもファッション・トリビアに関するようなもので、知っておいて損にはならないが、知らなくてもどうでもよいことが多い。ただしフォーマルウエアについての知識、こればかりは知っておいてけっして損にはならない。というよりも知らないと恥をかくことにもなりかねないのだ。何をどう着ようがかまわない自由な着こなしが横行する現代の世の中だが、フォーマルウエアの世界だけはそういうわけにはいかない。
招待状などの「平服でどうぞ」は一般的にどこまで許されるの?
パーティーの招待状でいちばんやっかいなのが、この「平服でどうぞ」というヤツである。主催する側も「平服」が何であるかがわかっていないままに、そんな指定を出すものだから困ってしまう。で、辞典などを引くと「平服=平常着る衣服、ふだん着。礼服の対語」などと出ているものだから、ますます混乱してしまうのだ。ここではっきりさせておこう。パーティー会場などにおける「平服」とは、断じて「自由な服装」の意味ではない。けっしてビジネスウエアなどの「ふだん着」でもないのだ。ここでいう「平服」とは、夜の雰囲気にふさわしいドレッシーな服装ということなのである。この方面に詳しいデザイナー、川淵 勉氏の著書『紳士礼装の「かたち」と「こころ」』(繊研新聞社刊)によると、その条件は
●無地であること(柄ものは昼間のもの)
●暗調であること(ダークな色調)
●光沢のあること、の3点に絞られるという。
諸君、心してお出かけあれ。