「取るに足らぬこと、些細なこと」を英語でトリビア trivia といい、当時のテレビ番組『トリビアの泉』以来、大変な雑学、蘊蓄ブームを巻き起こすようになっているが、ファッションの世界にはこれに類するトリビアがことのほか多く見受けられる。たとえば「腹巻き」は16世紀のヨーロッパで生まれ、日本では明治時代にキモノから洋服に変化したときに帯の代わりに用いられたという。またトートバッグはもともとキャンプ地で水を運ぶために使われていた、というのもこれを知らない人にとっては「目からウロコ」の話となるだろう。ファッションに関するトリビアは語源や発生にまつわる話が多いけれど、それを知っているとつい誰かに自慢したくなるものだ。それこそトリビアのトリビアたるゆえんなのだが、あの女性ファッション誌『JJ』のタイトルが「女性自身」のアルファベット綴りの略からきているって知っていました?
日本最初の百貨店は「三越呉服店」
百貨店という形態が日本に登場したのは1904(明治37)年のこと。この年2月には日露戦争が始まっており、そうした中12月20日に「三越呉服店」(現・三越)がデパートメントストア宣言を行ったのである。三越は1673(延宝元)年に「越後屋」として創業しているが、この時「三井呉服店」の店名を改称し、新たに株式会社三越呉服店としてスタートを切ったのだ。ここに日本最初の近代的な百貨店が誕生することになった。もっとも、その2年前の10月に白木屋呉服洋服店が今でいうリニューアル・オープンを行い、近代的なデパート食堂を開設しているという事実はあるが(三越の食堂開設は1907年)。その後1914(大正3)年には本店新館を開店させ、国内最初のエスカレーターを設置している。ただし「百貨店」という名称が生まれるのは、1924(大正13)年のことで、この年、全国の百貨店業者を統合して、「日本百貨店協会」という団体が創立された時に用いたのが最初とされる。